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日本刀の美しさの秘密とは?現代工学から見た日本刀!

2017.12.22 歴史・戦国
冶金工学 日本刀 鉄鋼材料

初めまして!

ゼロワンメンバーの藤根です。

今日は日本刀の不思議に関する小話を、一つお届けしようと思います。

私は本職がモノづくり系のエンジニア(機械系)なので、現代工学から見た日本刀を紹介します!

日本刀の美しさはどこから来ているの?

さて、現代で日本刀を見る機会があるといえば美術館や博物館が多いかと思いますが、

皆さんはそれを見て何を感じますか?

私は武器でありながらも、綺麗だなーと思います。

そんな風に思うのは私だけではないはず!

では、もう一歩踏み込んで。

 

その美しさはどこから来ているのでしょうか?

それは機能を合理的に突き詰めていった結果、発現した美しさ「機能美」から来ています。

今日はそのお話を。

 

        

日本刀は見た目麗しく、すれ違えば思わず振り返るような美しさを持っていますが

その見た目の特徴としては

    ・細身で比較的軽量である。

    ・片刃で反りがある。

    ・刃面に波状の刃紋がある。

といったところがありますね!特に刃紋は刀11本違うらしく、個性を持っています。

美しくスレンダーで個性的かつ切れ味鋭い。

こんなお姉さんになら叱られたいですね!

個人的な感想は置いておいて、刀は美術品としての評価も高いのです。

鋭さと柔軟性を併せ持つ日本刀の武器としての機能

さて、次は日本刀の本来の目的である武器としての機能を見てみましょう。

刀は戦場で使われるときに、相手を一刀の元に斬り裂く「鋭さ(硬さと言います)」と

相手の刀とぶつかったり、甲冑などに当たった際にも折れない、

刃こぼれしない「柔軟性(靭性と言います)」の両方を満たす必要があります。

実はこの「鋭さ」「柔軟性」は鉄材料の宿命として一般的に相反するものなので、

武器として両方を満たすのは難しい。

材料の種類が限られていた近代以前の時代ではなおさらです。

西洋刀などは鋭さが十分でなく、突くことを主眼としていたようです。

しかし日本刀は当時最高クラスの「鋭さ」を保ちながら、

武器として耐えうる「柔軟性」も兼ね備えていました。

なぜそのようなことが出来たのでしょうか?

 

 

 

その2つの特性を備えるための答えは、刀のサンドイッチな構造(複合材料と言います)にあります。

日本刀というのは、図のように真ん中の材料を周りの材料が包んでいるような形をしています。

真ん中を通っている鉄は柔軟性のある組織(フェライト組織)、

それを包むように覆っているのが鋭さのある組織(マルテンサイト組織)です。

ちょうどオレオみたいな感じですね! 

           

さて、この構造をまとめると

  【フェライト組織】・・・変形しやすく鈍いが柔らかい

  【マルテンサイト組織】・・・鋭いがもろい。

とまあこのような二重構造を持っていると、どんなことが起きるかというと。。

斬るときに先端は変形することなく鋭いままどんどん進んでいきますが、

例えば何かに強くぶつかったとき(刀同士があたるなど)の衝撃は真ん中の組織が変形して受け持ってくれる

こんな風に、各々の苦手な分野を得意な分野で補完し合っているから、武器として優れた特性を持っているのです。

いやはや匠、すごいです。

          

簡単に刀の製造法と組織変化をまとめます。

ちなみに通常、鉄は何もしていないとフェライト組織ですが、

焼き入れという作業によってマルテンサイト組織に変化します。

焼き入れというのは鉄を高温まで熱し、水で急冷する作業ですが、いわゆる焼きを入れる!

というやつですね。

簡単に言うと刀の刃側と外側は焼きが入って、内側は元のままという状態です。

 

            

さて、この2重構造によりもう1つ変化が起こります。

実は外側の組織と中心の組織では金属組織の大きさが違います。

外側のほうが大きいのです。

すると刃の刃側が大きくなろうとするけど、峰側はそのままなので反りが発生します。

この反りも実は刀の強靭さに一役買っていますが、長くなるのでこちらは割愛。。

機能を求めた先に見えてくる美しさ

ここまで日本刀の美しさと工学的な構造についてみてきましたが、

この日本刀の美しさを作り出したのも刀の構造あってのものです。

美しさの特徴であった 

  ・細身で比較的軽量である。   強靭な構造であるため、細身でも破損しにくい

 ・片刃で反りがある。      二重構造であるため、反りが発生

 ・刃面に波状の刃紋がある。   二重構造の変化点が刃紋として出現

 

というように、美しさの特徴と刀が求める機能とが合致しています。

 

このように機能を求めた先に見えてくる美しさを機能美といいます。

この機能美というのは何も過去のものではなくて、現代社会のあらゆる製品に見ることが出来ます。

例を挙げれば、新幹線は空気抵抗を極限まで下げた結果、現在のカモノハシのような形状になっています。

橋梁のアーチ構造なんかも力が分散するような構造です。

 

このように周りにあるモノの形は、その形にしたかった理由があります。

それを探すことにより工学の面白さを見つけて、

先人の知恵や製作者の考えに思いを馳せてみてはどうでしょうか。

 

おわり

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