自治体の戦国イベントの集客で使えるSNS活用事例3選

2025.09.30

自治体が主催するイベントの成功には、「集客」が欠かせません。集客力を向上させるには、ターゲット設定から企画立案・告知活動まで一貫した戦略が必要です。さらに近年では、ターゲットにあわせてSNSを活用した、ユニークな告知を行う自治体も増えてきました

本記事では、自治体イベントの集客が伸び悩む理由と解決方法、自治体イベントの集客に活用できるSNS、戦国イベントが集客力の向上におすすめな理由、自治体の戦国イベントでSNSを活用したユニークな事例3選を紹介します。

自治体イベントの集客が伸び悩む理由と解決方法

ここでは、自治体が開催するイベントにおいて、集客が伸び悩むときに抱えがちな理由と、その解決方法について解説します。

どのような人向けのイベントかが曖昧になっている

自治体のイベントは、幅広い人々に向けたものである必要があります。しかし、誰でも楽しめるものにしようとしすぎると、訴求内容がぼやけてしまう可能性があります

主にどのような人のためのイベントなのかを設定し、関係者のあいだだけでも共有することが重要です。ターゲットが明確になることで、対象者が楽しめる内容になり、情報も届きやすくなります。これは、一部の人しか歓迎しないということではありません。メインターゲットに強く訴求できれば、それ以外の人の興味をひくことにもつながります。

【解決方法】ターゲットの具体的な人物像を設定する

ターゲットを明確にするには、具体的に人物像を描くのがポイントです。年齢や性別、家族構成もイメージするといいでしょう。その人物に訴求するイベントはなにかを考え、さらにどのような告知方法を用いると情報を届けられるのかまで考えられると、集客の成功率は上がります。

以下、ターゲットイメージと、そこに訴求するイベント企画例です。

  • 2人の子どもがいる35歳の会社員、子どもが楽しくあそべて学びもあるイベントを求めている:地域の歴史を体験的に学べる企画、キッズスペースや授乳室など家族で安心して参加できる環境を準備
  • ・19歳の大学生、体を動かせて思い出づくりもできるイベントを求めている:スポーツやコスプレ大会などの参加型企画、フォトスポットや限定グッズプレゼントなどSNSでシェアしたくなる要素を準備
  • ・25歳の会社員、地域での出会いを求めている:婚活イベントやビジネスセミナーなど地域交流や人脈づくりができる企画
  • ・65歳のシニア層、近隣の人とともに新しい趣味を始めたい:伝統文化の体験や趣味サークルの発表会など同世代が交流できる企画

他のイベントと差別化ができていない

自治体イベントの集客が伸び悩む要因の1つに、他のイベントと差別化ができていないという問題があります。地域では、季節行事や観光イベントなど数多くのイベントが開催されます。自治体によるもの以外にも、商業施設や商店街など、さまざまな主体がイベントを行うこともあります。

そのため、参加者が「このイベントに行きたい」と主体的に思える企画を立案する必要があります

【解決方法】付加価値の高い企画を行う

他のイベントとの差別化を図るには、付加価値の高い企画を行うことが重要です。ポイントは「このイベントだからこそ体験できる」要素を盛り込むことです

たとえば、地域の歴史や伝統文化を生かした企画は、そこでしか味わえないものでしょう。それらを見たり聞いたりするだけではなく、体験型のプログラムに仕立てられていると、参加者は興味をそそられます。さらに、会場に地元の食材やご当地グルメ・お土産などの出店があれば、他にはない特別感を与えることができます。

どのように告知したらいいかわからない

自治体が主催するイベントにおいては、告知不足が集客上の大きな課題となっています。自治体の広報誌や掲示板、公式ホームページといった媒体では告知しても、近年多くの人が情報を取得するインターネットメディアを有効活用できていないかもしれません

【解決方法】ターゲットにあわせたメディアで情報を発信する

イベントの集客を高めるには、ターゲットにあわせたメディアで情報を発信することが欠かせません。たとえば、情報に敏感な若年層の注目を集めたい場合は、InstagramやTikTokといったビジュアル重視の媒体が適しています。子育て世代を対象とするなら、スキマ時間で情報収集をしやすいX(旧Twitter)やYouTubeが効果的かもしれません。

自治体イベントの集客に活用できるSNS

ここでは、自治体イベントの集客に活用できる主なSNSを紹介します。

1.Instagram

Instagramは、写真や動画を共有・閲覧するSNSです。20〜30代を中心に幅広い年齢層に使われています。

ビジュアル重視である点が特徴で、美しい画像や目をひく画像が多く投稿されています。特に写真映えするイベントを求めている若年層や観光客の注目を集めるのに有効です

また、画像にはハッシュタグや位置情報であるジオタギングなどによって情報を付与できます。視聴者はこれらのタグを検索することができるため、適切なタグを付与することで、ターゲットに情報が届きやすくなります。

他には、ストーリーズやリールといった、短時間の動画を投稿する機能もあります。ストーリーズは投稿から24時間で消えるため、イベントのライブ感をリアルタイムに伝えられる点も強みです。

2.TikTok

TikTokは、動画の共有に特化したSNSです。10代後半から20代前半の若年層が主なユーザーだとされています。

投稿される動画は、主に15秒〜30秒と短いのが特徴で、最大10分までとなっています。投稿者は、テンポのいい動画に、人気の高い音源や流行のエフェクトを取り入れて編集することで、視聴者の関心を集めます。

視聴者の評価が高い動画は「おすすめ」として他のユーザーの画面にも表示されます。特に興味関心の近いユーザーに表示されやすいため、一気に認知を高めることができます。

3.X(旧Twitter)

Xは、140文字の文字数制限がある、文章での投稿が中心のSNSです。ユーザーは20代が最も多く、幅広い年齢層に利用されています。

「リポスト(旧リツイート)」と呼ばれる、他ユーザーの投稿を自分のタイムライン上に再投稿する機能により、拡散力に優れているのが特徴です。

自治体イベントの広報においては、最新情報の発信や当日の状況共有に非常に適しています。たとえば、イベント開始直前のリマインド投稿や、雨天時の対応、混雑状況の案内などを素早く周知できる点は大きなメリットです。

4.YouTube

YouTubeは、動画を共有できるオンラインプラットフォームです。最もアクティブユーザーが多いのは40代ですが、10代〜20代は90%以上が利用しており、高い利用率を誇ります。

長尺の動画や高画質の映像を投稿できるため、イベントの魅力をしっかり伝えるのに適しています。他のSNSは短尺の動画投稿が中心であるため、ストーリーやメッセージをしっかりまとめたいのであれば、YouTubeを用いるといいでしょう。

たとえば、イベントの準備過程やインタビュー映像を投稿することで、イベントに対して共感を集め、ファン層をつくりやすくなるでしょう。また、イベント中の映像を投稿すれば、長期的に視聴できるため、毎年の恒例イベントの告知として活用できます。

5.Facebook

Facebookは、世界最大の実名登録制SNSです。日本では30代の利用者が最も多く、それ以上の年齢層にも強いサービスです。地域コミュニティとの親和性が高い点も特徴です

広告配信機能が充実しており、年齢層や地域を細かく設定してターゲットに情報を届けられます。たとえば「40代以上の歴史好き」「開催地域周辺に住むファミリー層」など、来場が見込まれる層に効率よくリーチできるのはFacebookならではの強みです。

「戦国イベント」が集客力の向上におすすめな理由

自治体のイベントの集客力を高めるには、「戦国イベント」はおすすめです。戦国時代は、近年ゲームやドラマ・映画などで取り上げられることが多く、歴史好きの人気を集めることができるテーマです。また、子どもに学びの機会を与えたい親世代や、日本らしい体験を求めている外国人観光客など、幅広い人の注目を集めることができます。

また、地域の史跡や地元にゆかりのある戦国武将と結びつけることで、その土地ならではの独自性を打ち出せる点も大きな強みです。さらに、戦国武将を題材にしたイベントはSNS映えする要素が豊富です。甲冑の着付け体験やチャンバラ合戦などを取り入れれば、参加者が自主的に写真や動画を発信しやすいため、広報効果の拡大も期待できるでしょう。

自治体の戦国イベントでSNSを活用したユニークな事例3選

ここでは、自治体で実施した戦国イベントで、SNSを活用して広報を行ったユニークな事例3選を紹介します。

滋賀県│滋賀県観光キャンペーン「戦国ワンダーランド 滋賀・びわ湖」

「戦国ワンダーランド 滋賀・びわ湖」は、滋賀県で2019年に実施された観光キャンペーンです。滋賀県は、戦国時代の人物や史跡・逸話などを多く有します。それらの魅力を、県内市町・観光協会・事業者などと連携して発信することを目的として開催されました。

オープニングイベントとして歴史学者・小和田哲男氏の講演や、明智光秀vs織田信長の大合戦シーンが再現された「チャンバラ合戦-戦IKUSA- ~安土の陣~」、ワークショップやグルメエリア(楽市・楽座)が展開されました。

その他にも「近江の城カード」の配布や、「出張!お城EXPO in 滋賀・びわ湖」と題した「日本100名城」パネル展示や、特別展「近江武将の戦国絵巻」、御歌頭氏による墨絵展示などが行われ、城好きにはたまらないイベントが盛りだくさんでした。

イベントの概要

  • イベント名:滋賀県観光キャンペーン「戦国ワンダーランド 滋賀・びわ湖」
  • イベント実施日:2019年10月22日(火・祝)~2020年12月(予定)
  • 実施エリア:滋賀県全域

SNSを用いた広報手法

1.「#戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」Instagram投稿キャンペーン

期間中に、「戦国ワンダーランド滋賀・びわ湖」のハッシュタグ「#戦国ワンダーランド」をつけて、Instagramに写真を投稿するキャンペーンを実施しました。写真は、滋賀県内で見つけた名所旧跡・風景・人・モノ・食べ物など、戦国ゆかりのものであればOKです。優秀な作品には、ペア宿泊券や近江米、近江牛ギフト券など、さまざまなプレゼントが当たりました。

2.#戦国に笑う SNS投稿キャンペーン

期間中は、戦国時代を舞台とした人気漫画「煉獄に笑う」とのコラボ企画として、「煉獄に笑う」原画展が行われました。「#戦国に笑う SNS投稿キャンペーン」はその一環のキャンペーンです。大津市・近江八幡市の写真を撮影し、ハッシュタグをつけてInstagramかXに投稿すると、抽選で作者である唐々煙先生のサイン入り色紙や、ホテルの宿泊券などがプレゼントされました。

参照:滋賀県観光キャンペーン 近江戦国絵巻

兵庫県丹波篠山市│『THE LEGEND & BUTTERFLY』公開記念【チャンバラ合戦 丹波篠山の陣】-集え!コスプレ武将たち-

兵庫県丹波篠山市では、映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』の公開を記念して、「【チャンバラ合戦 丹波篠山の陣】 -集え!コスプレ武将たち-」を開催しました。

『THE LEGEND & BUTTERFLY』は、織田信長を木村拓哉さんが、その正室で斎藤道三の娘である濃姫(帰蝶)を綾瀬はるかさんが演じたことで話題となりました。

イベントは、映画の撮影場所となった篠山城を舞台に開催されました。当日は、参加者がコスプレをしてチャンバラ合戦に挑みました。甲冑や着物を身に纏い、歴史上の人物やアニメ・ゲームの登場人物を模した姿で、子どもも大人も思う存分戦いました。

イベントの概要

  • イベント名:『THE LEGEND & BUTTERFLY』公開記念【チャンバラ合戦 丹波篠山の陣】-集え!コスプレ武将たち-
  • イベント実施日:2023年3月21日(火)
  • 実施エリア:兵庫県丹波篠山市北新町 篠山城跡

SNSを用いた広報手法

「【チャンバラ合戦 丹波篠山の陣】-集え!コスプレ武将たち-」では、Instagramでフォトコンテストを開催しました。指定のアカウントをフォローしたうえで、「#丹波篠山フォト2023」のハッシュタグをつけて写真を投稿します。

優秀作品には「一般部門」「コスプレ部門」でそれぞれで豪華賞品を贈呈しました。コンテストには、丹波篠山の美しい風景を切り取った写真が数多く寄せられました。

参照:【『THE LEGEND & BUTTERFLY』公開記念 】チャンバラ合戦 丹波篠山の陣-集え!コスプレ武将たち-を開催 | PR Times – 神戸新聞NEXT

参照:【THE LEGEND & BUTTERFLY公開記念】丹波篠山の地にて集え‼コスプレ侍たち⁉いざチャンバラ合戦‼ | 大人も子供も楽しめるイベント|チャンバラ合戦

岐阜県可児市│山城に行こう!2022 ~小牧・長久手の戦い きっかけは森長可~

「山城に行こう!2022 ~小牧・長久手の戦い きっかけは森長可~」は、岐阜県可児市で2022年に開催されたイベントです。可児市は戦国時代の山城が多く残されており、また「鬼武蔵」の異名を持つ戦国武将・森長可ゆかりの地です。森長可は織田信長につかえ、豊臣秀吉と徳川家康が激突した「小牧・長久手の戦い」で活躍しました。

イベントでは、地域に残る山城の魅力と戦国の歴史を体験しながら学ぶことができました。森長可に焦点を当てた展示や企画、研究者による講演やパネルディスカッション、チャンバラ合戦などの参加型企画、スタンプラリーなどが実施されました。

イベントの概要

  • イベント名:山城に行こう!2022 ~小牧・長久手の戦い きっかけは森長可~
  • イベント実施日:2022年11月19日(土)・20日(日)
  • 実施エリア:岐阜県可児市瀬田1584-1 ぎふワールド・ローズガーデン 他

SNSを用いた広報手法

「山城に行こう!2022 ~小牧・長久手の戦い きっかけは森長可~」では、期間中、Instagramを用いたイベントを行いました。

会場では、入場口で来場者に「おにむさしーる」というシールを配布しました。「鬼武蔵」と呼ばれた森長可をイメージしたシールです。こちらをマスクに貼り付け、所定の看板の前で写真を撮り、ハッシュタグ「#鬼武蔵顔」をつけて投稿します。抽選で10名に、特製プレゼントが送られました。

参照:山城へ行こう!2022|特設ページ – Gifu ebooks 岐阜イーブックス | 岐阜の広報・観光・イベント情報誌を無料閲覧 | 岐阜の電子書籍

まとめ

自治体イベントの集客を成功させるためには、ターゲットを明確にし、その層に適した企画を立案し、ターゲットにあわせたメディアで情報を発信する工夫が欠かせません。

また戦国イベントは、地域資源を活かしながら子どもから大人まで幅広い層にアピールできるため、集客力向上に大いに役立つ取り組みです。

この記事を参考に、戦国イベントを開催し、SNSを活用して広報を行ってみてはいかがでしょうか。

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