自治体の歴史で地域活性化!ワークショップ型戦国イベントの事例5選

2025.07.04

近年、地域の魅力を再発見し、住民や観光客を巻き込んだ地域活性化の取り組みが全国で注目されています。そのなかでも、戦国時代という人気の高いテーマを活かしたイベントは、その地域ならではの価値を生み出せる貴重な手段です。

戦国時代をテーマにしたイベントを行う場合、ワークショップを取り入れるのがおすすめです。ワークショップ型イベントは、子どもから大人まで幅広い世代が参加でき歴史を学びながら地域への愛着を深める絶好の機会となります

本記事では、ワークショップとは、自治体でワークショップを実施するメリットや戦国時代をテーマとしたワークショップをおすすめする理由、自治体でワークショップ型戦国イベントを実施した事例5選、ワークショップ型戦国イベントを開催する流れやポイントを紹介します。

ワークショップとは

ワークショップとは、参加者が主体的に学び体験しながら知識やスキルを深める学習講座です。講義形式のように一方的に話を聞くのではなく、グループワークやディスカッション・創作活動を通じて、参加者が能動的にべるのが特徴です。

ワークショップは、教育現場や企業の研修、地域活動など幅広い分野で活用されています。

自治体でワークショップを実施するメリット

ここでは、自治体で住民や観光客向けにワークショップを実施するメリットを解説します。

1.参加者が地域への興味を持ちやすい

ワークショップは、参加者が受け身にならず、主体的に学びや体験を得られる場です。そのため、ワークショップを開催することで、住民や観光客が地域に対して関心を持ちやすくなります。地域を訪れるだけでは終わらず、長期的な興味を喚起できる点がメリットです。

2.地域の歴史や文化を反映させやすい

ワークショップは、テーマを設けてグループワークをしたり、ものづくりをしたりします。そのテーマとして、地域の歴史や文化はぴったりです。自治体では、地域固有の歴史や伝統を把握しており、地元の資料や伝承人材を活用できる環境が整っていこの地域資源をワークショップに反映することで、住民や観光客にわかりやすく伝え、関心を高めることができます。

3.参加者同士や主催者と交流の場が生まれやすい

ワークショップでは参加者同士や、主催者と参加者とのコミュニケーションが発生しますイベントが世代を超えた交流の場となり、住民同士のつながりを深めることができます。また、観光客との交流も生まれ、地域親しみを感じてもらチャンスになります。

戦国時代をテーマにしたワークショップがおすすめな理由

ここでは、自治体で戦国時代をテーマにしたワークショップの開催をするのがおすすめな理由について解説します。

1.集客効果が期待できる

戦国時代は、ドラマや映画・ゲームなどさまざまな媒体で取り上げられることが多く人気があります。そのため、戦国時代をテーマにしたイベントは、集客効果が期待できす。大人から子ども、学生・外国人観光客まで、幅広い層興味をひくことができるでしょうさらにワークショップは楽しく戦国時代を体験できるため、参加のハードルが低くなります

2.地域への誇りを醸成できる

戦国時代は魅力的な登場人物や逸話が多く、ドラマティックでそのような戦国時代に活躍した武将や、関わりのある遺跡が地域にあると知ることは、住民が自分たちの地域誇りを持つきっかけになります戦国時代をテーマとしたワークショップに参加すれば、知識を得るだけではなく、より深く興味を持つことができるでしょう。

3.地域経済を巻き込みやすい

ワークショップの参加者は、目新しい体験を求めています。イベントでは、地域の歴史に関連したグルメや商品の販売をすると、参加者に喜ばれ、経済的波及効果も見込ます近隣を案内する観光ツアーを企画してもいいでしょう。

地場の企業や商店、飲食店などに協力をあおぎ、イベントへの出店、お土産・グルメの開発を行うのもおすすめです。地域経済を巻き込むことで、地元の住民や観光客から注目を集められるでしょう。

自治体で「ワークショップ型戦国イベント」を行った事例5

1.埼玉県行田市│チャンバラ合戦 in 忍城 ~行田花手水タウン特別企画2024~「歴史は塗り替えられるのか!?」

「チャンバラ合戦 in 忍城 ~行田花手水タウン特別企画2024~『歴史は塗り替えられるのか!?』」は、埼玉県行田市で2024年9月に実施されたイベントです。

舞台となった「忍城」は、戦国時代に豊臣秀吉の命を受けた石田三成と成田長親が戦ったことで有名です。「忍城」をより多くの人に知ってもらうことを目的にイベントは開催されました。

当日は、スポンジ刀に好きな絵を描いて自分だけの刀を制作する「オリジナル刀作り」のワークショップを行いました。たくさんのお子様が、目を輝かせて刀に思い思いの絵を描き、オリジナルの刀を得意気に振っていました。

また、スポンジ刀を持ち反対の腕に「命」と呼ばれるカラーボールを装備して戦う「チャンバラ合戦」も開催され、各回キャンセル待ちが生じるほどの大盛況となりました。

イベント概要

  • イベント名:チャンバラ合戦 in 忍城 ~行田花手水タウン特別企画2024~「歴史は塗り替えられるのか!?」
  • 開催地:埼玉県行田市本丸17-23 忍城址公園内駐車場
  • 前回の開催日:2024年9月21日(土)

 

参照:忍城前広場にて「チャンバラ合戦」「戦国ワークショップ」を実施しました! | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦

2.山梨県甲府市│信玄公祭り

「信玄公祭り」は、山梨県甲府市で毎年開催されている祭りです。1,000人以上の参加者が戦国武者姿で街を練り歩く「甲州軍団出陣」が特に有名です。

2024年の信玄公祭りでは、それまであまり行っていなかった子どもやファミリー向けの体験型企画を実施するために、「刀ワークショップ」「チャンバラ合戦」を導入しましたオリジナルのスポンジ刀がつくれる「刀ワークショップ」には、思い出に残る品をつくる企画を行いたいという意図もありました。

他にも、地元グルメや戦国時代の食事を楽しめる屋台、地域の伝統芸能の披露、歴史カードゲーム合戦など、戦国時代に関わるさまざまななプログラムが開催されています2025年には、イベント期間3日間の動員数が174,000人を超え、地域経済に大きな波及効果をもたらしています。

イベント概要

  • イベント名:信玄公祭り
  • 開催地:山梨県甲府市丸の内1 舞鶴城公園 ほか
  • 前回の開催日時期:2025年4月4日(金)・5日(土)・6日(日)

 

参照:山梨県「信玄公祭り」でチャンバラ合戦を実施いただきました! | 大人も子供も楽しめるイベント|チャンバラ合戦

3.京都府舞鶴市│田辺籠城戦国まつり2023

「田辺籠城戦国まつり2023」は、京都府舞鶴市の田辺城跡で2023年10月に開催された祭りです。舞鶴市市制施行80周年を記念して行われました。

田辺城は、戦国時代に活躍した武将「細川幽斎(ほそかわ ゆうさい)」が居城とした城です。戦国時代の天下分け目の戦い「関ケ原の合戦」では、東軍に属した細川幽斎が52日間も籠城戦を行った城として有名です

祭りでは、以下4つのワークショップを実施しました。

  1. 1.刀ワークショップ
  2. 2.忍者迷路:段ボール製の迷路をキーワードを探しながら進み、見つけた言葉をスタッフに伝えるとクリア。キーワードは「細川幽斎」でした。
  3. 3.ふぇいすぺいんと顔処:好きな絵柄を選んでフェイスペイント。絵柄は「戦」のマーク・舞鶴かに®︎のPRキャラクター「チョキまる」・細川家の家紋「九曜紋」の3種類でした。
  4. 4.手裏剣道場:的に向かって手裏剣を放ち、忍者気分が味わえる手裏剣体験です。

 

地域ならではのモチーフを取り入れたワークショップが特徴的でした

他にも「チャンバラ合戦inもう一つの関ケ原 舞鶴」や合戦武将隊による演舞、講演会やキッチンカーの出店がありました。

イベント概要

  • イベント名:田辺籠城戦国まつり2023
  • 開催地:京都府舞鶴市字南田辺12-23 舞鶴公園(田辺城跡)
  • 前回の開催日:2023年10月21日(土)、22日(日)

 

参照:京都府舞鶴市の『田辺籠城戦国まつり2023』で「合戦フェス」を実施いただきました! | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦

4.東京都八王子市│八王子日本遺産PRキャンペーン

「八王子日本遺産PRキャンペーン」は、東京都八王子市で開催されたキャンペーンです。八王子市内の日本遺産を体感できる参加型のイベントとして、2023年・2024年に実施されました。

2023年のキャンペーンでは、北条氏照にゆかりのある滝山城跡八王子城跡を舞台に、ワークショップとチャンバラ合戦を実施しました。

ワークショップは、以下3種類を行いました。雨天にも関わらず、家族連れを中心に、多くの方が来場しました

  1. 1.オリジナル刀ワークショップ
  2. 2.手裏剣道場
  3. 3.流鏑馬射的:乗馬を体験できる機械にまたがりながら弓矢で的を狙います。流鏑馬を疑似体験できるアトラクションです。

 

イベント概要

  • イベント名:八王子日本遺産PRキャンペーン
  • 開催地:東京都八王子市元八王子町3 八王子城跡 他
  • 前回の開催日:2023年11月5日(土)、6日(日)

 

参照:八王子市の「八王子日本遺産PRキャンペーン」において、チャンバラ合戦・戦国ワークショップを実施いただきました! | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦

5.東京都練馬区│照姫まつり

「照姫まつり」は、東京都練馬区で毎年開催されている祭りです。会場の石神井公園には、かつて「石神井城」があり、城主・豊島泰経と太田道灌が戦いを繰り広げました。祭りは、戦いに敗れた泰経とその娘・照姫が池に身を投げたという伝説がもとになっています。

2025年の祭りでは、以下のワークショップを実施しました。

  1. 1.戦国提灯づくり:紙に自由に絵を描いたりシールを貼ったりして自分だけの提灯をつくります。
  2. 2.オリジナル刀づくり
  3. 3.ふぇいすぺいんと顔処:練馬区公式アニメキャラクター「ねり丸」や有名武将の家紋、和柄などをペイントできます。
  4. 4.手裏剣道場

 

ワークショップは、照姫まつりで毎年実施しています。リピーターやワークショップを目当てに来場する参加者もおり、地域に根付いたイベントとして定着しています

照姫まつりでは、ほかにも目玉企画である「照姫行列」、チャンバラ合戦、地域の飲食店によるブース出店、伝統芸能や地域のダンススクールによる披露など、さまざまな催しが行われ、住民や観光客が楽しみにしています

 

イベント概要

  • イベント名:照姫まつり
  • 開催地:東京都練馬区石神井台 石神井公園 他
  • 前回の開催日:2025年4月20日(日)

 

参照:第36回照姫まつりにて「チャンバラ合戦-戦IKUSA-」「戦国ワークショップ」を開催いたしました | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦

ワークショップ型戦国イベントを開催する流れ

ここでは、ワークショップ型戦国イベントを開催する流れを紹介します。

1.目的とターゲットを決める

自治体でワークショップ型戦国イベントを開催する際、まず行うのは目的とターゲット設定です。地域のどのような歴史に焦点を当てるのか、どのような人に参加してほしいのか、地域住民の交流を深めたいのか広く歴史好きを集めたいのかなどを決めます誰に向けて何のために行うイベントかを明確にすることで、企画がぶれることを防ぎます

2.予算を立てスケジュールを決める

次に、予算立てて開催までのスケジュール作成します。会場費・人件費・広告宣伝費など必要経費を項目ごとに洗い出し、無理のない予算を組みます。次に、当日までのおおまかなスケジュールを作成します

3.開催場所を決める

続いて開催場所を決めます。アクセスのさや参加者の動線、雨天時の対応も考慮が必要です。歴史的背景のある史跡内に広い場所がなかったりアクセスが悪かったりする場合は、近くの公園や公民館、体育館を使用してもいいでしょう。

4.ワークショップ内容を決める

ワークショップの内容を決めます。地域にゆかりのある戦国武将や逸話を題材に、体験型プログラムを考えましょう。ターゲットにあわせて、難易度や所要時間を工夫することも大切です。企画や準備・運営に不安がある場合は、イベント業者に依頼してもいいでしょう。

5.宣伝・集客を行う

ここまで決まったら、宣伝をし集客を行います。ターゲット層に合わせて、地域の広報誌、SNSやイベント告知サイトメールマガジン、ポスターチラシなど複数の媒体を活用しましょう。地元の学校や観光案内所への配布も効果的です。イベントの魅力を的確に伝え、集客につなげましょう。

6.スタッフを確保する

続いて、当日の運営スタッフ確保します。受付・誘導・司会進行など、必要な人数を算出し、担当を割り振ります。

7.当日の準備をする

当日の準備として、スタッフ全員が役割を把握できる運営マニュアルとタイムスケジュールを作成し、共有しますまた会場設営や必要物品のチェックリストも用意しましょう。道路使用許可や火気使用など、各種申請も抜け漏れなく行います。万が一のトラブルに備えて、イベント保険にも加入しましょう

8.イベントを開催する

当日イベントを無事に開催するためには、計画通りの進行と柔軟な対応がポイントとなります。集合したら、スタッフ全員で最終確認を行い、マニュアルに沿って運営をしましょう予期せぬトラブルが起きたときのために、対応者や連絡手段を明確にします。そして何より大切なのは、参加者安心して楽しめるように、各スタッフがもてなしの気持ちで接することです

9.終了後の振り返りをする

イベント終了したら、振り返りを行います。スタッフから、当日の進行状況やトラブル対応、参加者の反応などについて意見を集めかった点と改善点を整理します。できれば参加者にもアンケートを依頼し、意見を参考にできるといいでしょう。振り返りをしっかり行うことで、地域に根ざした魅力的なイベントとして継続・発展させられます

ワークショップ型戦国イベントを開催する際のポイント

ここでは、ワークショップ型戦国イベントを開催する際のポイントを解説します。

歴史を感じられる体験を盛り込む

ワークショップは、主体的に参加し学びを得られる点が特徴です。戦国時代のことを学べたり、当時を疑似体験したりできるコンテンツを用意しましょう。

甲冑着用や、刀剣・弓矢・手裏剣などの使用、オリジナル戦国グッズづくりなどがおすすめです。地域の歴史を踏まえた体験を企画するのもいいでしょう。

継続性を重視して企画設計をする

自治体でのイベントは、度で終わるのではなく、持続的に実施することが重要です。恒例のイベントになれば、リピーターが増える・企画のブラッシュアップができる・メディアに取り上げられやすい、などのメリットがあります。地域に根付くことで、住民の誇りにもなり得るでしょう。

継続的に実施できるように、運営スタッフや協力団体との役割分担を明確にします。運営マニュアルやチェックリストを作成し、引き継ぎがスムーズに行える体制を整えることも重要です。また、アンケートで参加者の声を収集する仕組みもつくりましょう。

積極的に告知を行う

イベントを開催しても、参加者が想定を下回れば、成功とは言えません。イベントのターゲットに応じて適切なメディアを活用し、積極的に告知を行いましょう。

告知にインターネットは不可欠です。特に若者やファミリー層はインターネット経由で情報を集めることが多く、また安価で告知活動ができるものも多いため、イベントの魅力を低コストで広範囲に伝えることが期待できます。

地域のテレビ局ラジオ局新聞と連携するのも効果的です各メディアにイベント情報を伝え、取材に来てもらえるように調整しましょう。

まとめ

戦国時代をテーマにしたイベントは、地域ならではの価値を伝えられる貴重な機会です。ワークショップ型の戦国イベントであれば、地元住民も観光客も年齢問わず参加でき、歴史を学びながら地域への愛着を深められます。

地域活性化に取り組んでいる方は、本記事を参考に、ワークショップ型戦国イベントを開催してみてはいかがでしょうか。

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