地域の歴史を象徴する「城」や「城跡」は、親子で歴史に親しめる場として価値があります。城や城跡で体験イベントを開催すれば、より家族で訪れたい場所になるでしょう。
城・城跡で家族向けに実施するイベントとして、戦国時代の文化を気軽に体験できる「戦国ワークショップ」はおすすめです。小さなお子様から大人まで参加でき、休日にファミリーで楽しむのにぴったりです。
本記事では、城・城跡でファミリー向け体験イベント開催をおすすめする理由、「戦国ワークショップ」についてやその内容、城・城跡で開催された「戦国ワークショップ」の事例5選、城・城跡でファミリー向け体験イベントを開催する際のポイントについて解説します。
城・城跡でファミリー向け体験イベント開催をおすすめする理由
城や城跡でファミリー向けの体験イベントを開催するのはおすすめです。ここでは、その理由を解説します。
1.歴史を体感的に学ぶ場を提供できる
城や城跡は、かつて歴史が繰り広げられた場所です。訪れた人は、そこで活躍した武将や生活をしていた当時の人々に思いをはせることができます。そのような歴史への実感は、教科書を読むだけではなかなか得られません。
城・城跡で体験型のイベントを行うと、参加者はまるで歴史上の登場人物になったような没入感を持つことができます。子ども達にとっては、夢中になって楽しみながら学ぶ機会になるでしょう。保護者も安心して参加できます。
2.集客力が向上する
ファミリー層は、家族で楽しめる場所や催しを探しています。城・城跡での体験イベントは、そのようなファミリー層の興味をひき、足を運んでもらいやすくなります。イベントが地域の歴史・文化に関心を持つきっかけにもなるでしょう。
3.自然に囲まれて思う存分あそべる
多くの城や城跡は、広大な公園として整備されています。あそび場の少ない最近の子どもにとって、心ゆくまで体を動かせる自然豊かな環境は大きな魅力です。四季折々の景色のなかで開催する体験イベントは、家族が心身ともにリフレッシュできる場を提供できるでしょう。
4.写真映えしやすい
城や城跡は、普段の生活の場とは異なる非日常の空間です。石垣や門・天守閣などが残っていれば、まるでタイムスリップしたような感覚を与えてくれるでしょう。建造物がなくても、自然に囲まれた広い空間は魅力です。
城・城跡の独特の景観は、写真映えします。体験イベントでの子どもの笑顔や、家族の記念写真を撮るにはぴったりの背景です。SNSでシェアしてもらえば、観光地としてのPRになるでしょう。
5.地域の魅力を伝えられる
ファミリー層は、体験イベントに新しい経験を求めてやってきます。イベントの企画として、ご当地グルメや工芸品の販売、伝統芸能の披露なども実施すると、来場者の目をひき、地域の魅力を伝える機会になります。
地域の飲食点や商店、企業やパフォーマーなどを巻き込めば、つながりを生むきっかけになるかもしれません。地域住民のつながりは、地域活性化の活力となります。
「戦国ワークショップ」とは
「戦国ワークショップ」とは、戦国時代をテーマにしたアクティビティです。五感を使って日本の歴史や文化に親しめる、さまざまなワークショップがあります。子どもから大人まで一緒に参加でき、観光イベントとしても人気です。
城や城跡など、地域の歴史に関わる場所で実施することで、参加者は歴史を感じながらワークショップに取り組めます。つい夢中になってしまう内容が多く、毎年の開催を楽しみにしているリピーターも少なくありません。
その地域ならではのアレンジを加えることができるため、地域資源のPRとしても活用できます。
「戦国ワークショップ」で実施できるワークショップ
※ワークショップ名は、イベントによって多少異なります
刀づくりワークショップ
「刀づくりワークショップ」は、スポンジ製の真っ白な刀に、ペンやシールで色づけをして、オリジナルの刀を作成するワークショップです。自分だけの刀は思い出の品になるでしょう。
スポンジの刀を使って戦うアクティビティ「チャンバラ合戦」と同時開催するのもおすすめです。
流鏑馬射的
「流鏑馬射的」は、乗馬用の機械にまたがり、乗に乗りながら弓矢で的を狙う「流鏑馬」を疑似体験できるアトラクションです。動きながら的を狙うのは難しく、大人でも夢中になれます。
手づくり甲冑ー赤備え&黒備えー
「手づくり甲冑ー赤備え&黒備えー」は、オリジナル商品である「布甲冑」に色を塗ったり、家紋を描いたりして、自分だけの甲冑を完成させるワークショップです。
オリジナル侍缶バッジづくり
「オリジナル侍缶バッジづくり」は、自分だけの缶バッジをつくるワークショップです。自由に柄を描くことも、準備された家紋から好きなものを選ぶこともできます。
ふぇいすぺいんと顔処
「ふぇいすぺいんと顔処」は、肌に優しいシール素材で、顔や腕にペイントをします。有名武将の家紋や和柄から好きなものを選びます。写真映えし、手軽にイベントの雰囲気を盛り上げることができます。
手裏剣道場
「手裏剣道場」は、忍者気分になって的に向かって手裏剣を投げるアトラクションです。子どもも大人も楽しめる人気のワークショップです。
甲冑着付け体験
「甲冑着付け体験」は、大河ドラマやテレビの撮影で使用されている甲冑を着ることができるワークショップです。記念撮影にぴったりです。
こわっぱ忍者迷路
「こわっぱ忍者迷路」は、忍者になって迷路を探検し、無事に脱出することを目指すアクティビティです。主にお子様を対象としています。
投扇興
「投扇興」は、桐の台(枕)の上に立てたイチョウ型の的(蝶)に向かって扇を投げ、扇・枕・蝶がつくるかたちで得点を競うアクティビティです。日本の歴史あるあそびです。
戦国うちわづくり
「戦国うちわづくり」は、自分で絵を描いた紙面を、竹製の骨組みに貼り付けて完成させるワークショップです。シールやテープを貼り付けることもできるため、小さなお子様でも簡単に作成できます。
戦国提灯づくり
「戦国提灯づくり」は、紙に自由にお絵かきしたりシールを貼ったりして、オリジナルの提灯をつくるワークショップです。自分だけの提灯に火を灯したときの喜びはひとしおです。
幻術! 万華鏡づくり
「幻術! 万華鏡づくり」は、好きな色やかたちの素材を選び、自分だけの万華鏡をつくるワークショップです。愛着あふれるオリジナル万華鏡を覗き込めば、幻想的な世界に魅了されるでしょう。
かんざしづくり
「かんざしづくり」は、自分で好きな素材を選び、オリジナルのかんざしをつくるワークショップです。かんざしは、古来から女の子の身だしなみを整えるアイテムでした。アクセサリーをつくる感覚で、どなたでも手軽に楽しめます。
城・城跡で開催された「戦国ワークショップ」の事例5選
ここでは、全国の城・城跡で開催された戦国ワークショップの事例5選を紹介します。
1.チャンバラ合戦 in 忍城 ~行田花手水タウン特別企画2024~「歴史は塗り替えられるのか!?」
「チャンバラ合戦 in 忍城 ~行田花手水タウン特別企画2024~『歴史は塗り替えられるのか!?』」は、埼玉県行田市で2024年に行われたイベントです。舞台となった忍城は、戦国時代に石田三成と成田長親が戦った城です。忍城のことをより多くの人に知ってもらうために開催されました。
戦国ワークショップの「オリジナル刀づくり」を実施しました。参加者はスポンジ製の刀に絵を描いて、自分だけの刀を自由にデザインしました。
同時に実施した「チャンバラ合戦」も、キャンセル待ちが出るほどの大盛況となりました。会場には「忍城おもてなし甲冑隊」も駆けつけ、忍城の歴史にちなんだ魅力的な演舞を見せました。
イベント概要
- イベント名:チャンバラ合戦 in 忍城 ~行田花手水タウン特別企画2024~「歴史は塗り替えられるのか!?」
- 開催地:埼玉県行田市本丸17-23 忍城址公園内駐車場
- 前回の開催日:2024年9月21日(土)
参照:忍城前広場にて「チャンバラ合戦」「戦国ワークショップ」を実施しました! | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦
2.田辺籠城戦国まつり2023
「田辺籠城戦国まつり2023」は、京都府舞鶴市の田辺城跡で2023年に開催された祭りです。舞鶴市市制施行80周年を記念して行われました。
田辺城は、戦国時代に活躍した武将「細川幽斎(ほそかわ ゆうさい)」が居城とした城です。この城では、戦国時代に52日間の籠城戦が行われ「関ケ原の合戦」に大きな影響を与えました。
戦国ワークショップでは、以下4つのワークショップを実施しました。
- 刀ワークショップ
- 忍者迷路
- ふぇいすぺいんと顔処
- 手裏剣道場
「忍者迷路」は、段ボール製の迷路をキーワードを探しながら進み、見つけた言葉をスタッフに伝えるとクリアとなります。キーワードは田辺城の城主「細川幽斎」でした。
「ふぇいすぺいんと顔処」は、3種類の絵柄から選んでフェイスペイントをします。絵柄は、「戦」のマーク・舞鶴かに®︎のPRキャラクター「チョキまる」・細川家の家紋「九曜紋」を用意しました。
このように、戦国ワークショップでは、地域ならではのアレンジができます。
イベントでは、他にも「チャンバラ合戦inもう一つの関ケ原 舞鶴」や合戦武将隊による演舞、講演会やキッチンカーの出店を行いました。22日(日)だけで、まつり全体の来場者数は約1,500名に及びました。
イベント概要
- イベント名:田辺籠城戦国まつり2023
- 開催地:京都府舞鶴市字南田辺12-23 舞鶴公園(田辺城跡)
- 前回の開催日:2023年10月21日(土)、22日(日)
参照:京都府舞鶴市の『田辺籠城戦国まつり2023』で「合戦フェス」を実施いただきました! | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦
3.八王子日本遺産PRキャンペーン
「八王子日本遺産PRキャンペーン」は、東京都八王子市で開催されたイベントです。八王子市内の日本遺産を体感できる参加型のイベントとして、数年にわたって実施されました。
2023年には、滝山城跡と八王子城跡を会場に、戦国ワークショップとチャンバラ合戦を実施しました。
戦国ワークショップでは、以下3つのワークショップを行いました。当日は雨天でしたが、屋根のある場所で実施したため、安心して参加できました。
- オリジナル刀ワークショップ
- 手裏剣道場
- 流鏑馬射的
イベント概要
- イベント名:八王子日本遺産PRキャンペーン
- 開催地:東京都八王子市元八王子町3 八王子城跡 他
- 前回の開催日:2023年11月5日(土)、6日(日)
参照:八王子市の「八王子日本遺産PRキャンペーン」において、チャンバラ合戦・戦国ワークショップを実施いただきました! | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦
4.照姫まつり
「照姫まつり」は、東京都練馬区の石神井公園で毎年開催されている祭りです。室町時代の石神井城主・豊島泰経の娘「照姫」の伝説をテーマとしています。
2025年、第38回照姫まつりの戦国ワークショップでは、以下を実施しました。
- オリジナル刀づくり
- 提灯づくり
- ふぇいすぺいんと-顔処-
- 手裏剣道場
照姫まつりは毎年恒例の祭りであるため、戦国ワークショップを目当てに来場する方やリピート利用の方もおり、地域に定着しています。
当日は他にも、時代衣装に身を包んだ約100名の参加者が練り歩く「照姫行列」、チャンバラ合戦、ステージパフォーマンス、地元の商店や飲食点を中心としたブース出店など、さまざまなイベントを実施しました。
イベント概要
- イベント名:照姫まつり
- 開催地:東京都練馬区石神井台 石神井公園 他
- 前回の開催日:2025年4月20日(日)
以下は2023年の記事ですが、戦国ワークショップやチャンバラ合戦は毎年開催しています。
参照:第36回照姫まつりにて「チャンバラ合戦-戦IKUSA-」「戦国ワークショップ」を開催いたしました | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦
5.信長攻路 名古屋城戦国フェスティバル
「信長攻路 名古屋城戦国フェスティバル」は、2016年12月11日に名古屋城二之丸広場で開催された歴史イベントです。織田信長が「桶狭間の戦い」で辿ったとされる清洲城から桶狭間までの道を、観光街道「信長攻路」として名古屋市が整備し、そのお披露目を目的として実施されました。
戦国ワークショップでは「甲冑エプロンワークショップ」を行いました。会場では「桶狭間の戦い」を再現したチャンバラ合戦も実施したため、ワークショップで作成したオリジナルの甲冑エプロンを身につけて参加する人もいました。
フェスティバルでは他にも、名古屋おもてなし武将隊とともに歩くウォーキングイベント、音楽やダンスを披露する楽座ステージなどが開催されました。
イベント概要
- イベント名:信長攻路 名古屋城戦国フェスティバル
- 開催地:愛知県名古屋市中区本丸1-1 名古屋城 二ノ丸広場
- 前回の開催日:2016年12月11日(日)
参照:名古屋の新街道「信長攻路」をチャンバラと甲冑ワークショップでPR!リアル桶狭間の戦い in 名古屋城 | 大人も子どもも楽しめるイベント|チャンバラ合戦
城・城跡でファミリー向け体験イベントを開催する際のポイント
ここでは、城・城跡でファミリー向け体験イベントを開催する際のポイントを解説します。
1.「行く理由」を明確にする
ファミリー向け体験イベントを開催する際は、特に親にとっての「行く理由」が重要です。「子どもの歴史教育に役立つ」「家族皆で熱中できる」など、メリットを明確にしましょう。
家族割引や親子参加特典など、お得感のある情報も行動を後押しします。集客に不安がある場合は検討してもいいでしょう。
2.WebメディアやSNSを活用して情報を発信する
インターネットを活用して積極的に発信をすることで、ファミリー層にイベント情報が届きやすくなります。WebメディアやSNSに、イベントの詳細や魅力をわかりやすく掲載しましょう。Webメディアは、ファミリー向けやイベント告知を目的としたものを選定します。城・城跡を活かした写真を載せることも有効です。
告知に盛り込みたい内容は以下の通りです。
- イベント名、イベント概要
- 開催日時、時間帯
- 開催場所
- 交通手段
- 対象者・対象年齢
- 価格・決済方法
- 申し込み方法
- 安全対策や感染症対策
- 飲食物の提供や休憩スペースの有無
3.歴史をわかりやすく伝える工夫をする
体験イベントには、城や歴史に詳しくない家族連れも来場します。そのような客層も楽しめるように、会場では難しい説明や専門用語は避け、親しみやすい解説をしましょう。
イラスト付きの説明看板や、子ども向けにルビを振ったチラシなども有効です。
4.安全面や利便性を配慮する
ファミリー向けのイベントでは、乳幼児や高齢者が来場することもあります。城・城跡には階段・石畳・堀など、転倒・迷子のリスクがある場所も多いため、安全性・利便性に配慮する必要があります。以下のような対応ができると理想です。
- ベビーカーや車椅子での来場を想定したルートの確保
- トイレやおむつ替えスペースの設置・案内
- 滑りやすい場所への注意表示・スタッフの配置
- 混雑時の誘導スタッフの配置
- 救護所や迷子センターの設置
5.飲食・休憩スペースを充実させる
家族連れは長時間滞在することが多いため、快適に過ごせる空間を用意しましょう。日よけテントやテーブル・椅子など、休憩できる場所は多いに越したことはありません。
また、会場内で飲食物を提供できると、より滞在時間を伸ばすことができます。地元の飲食店やご当地グルメのブースを出店し、地域の魅力をアピールしましょう。
6.季節を活かした企画をする
季節を活かしたイベントは、ファミリー層の注目を集め、集客につながりやすくなります。春は花見、夏は縁日や水あそび、秋は紅葉やハロウィン、冬はクリスマスなど、四季折々のトピックスと絡めた企画を立てましょう。
まとめ
城や城跡は、親子で地域の歴史に親しめる場です。体験イベントを開催すれば、家族が訪れやすくなり、地域の歴史・文化に興味を持つきっかけを増やせるでしょう。
城・城跡のイベントとして「戦国ワークショップ」はおすすめです。全国で実施されており、ファミリーの心をつかんでいます。
城・城跡を活用した地域活性化を検討している方は、この記事を参考に、戦国ワークショップを開催してはいかがでしょうか。