ビジネスで活きるランチェスター戦略の凄さは『三国志』で実証済み!?

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ビジネス戦略としてよく耳にする「ランチェスター戦略」は、経営やマーケティングなどさまざまな場面で活用されています。しかし、働く皆さんの中には、「ランチェスター戦略って何?」という人や、「難しい専門書を読むのは面倒」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、ランチェスター戦略について、なんと、かの有名な『三国志』をひもときながら解説していきます。ランチェスター戦略をサクッと楽しく学びたい方必見の記事となっていますので、ぜひご覧ください。

 

そもそもランチェスター戦略って何?

弱者が強者に勝つ「逆転のメソッド」とも評されるランチェスター戦略は、小さな会社でもシェアトップにのし上がれる経営手法として知られています。

NPOランチェスター協会の常務理事で、企業コンサルタントの福永雅文氏は、同戦略について「一言で言うと『マーケット・シェアをどう上げるのか』という理論と実務体系」と語っています。(福永雅文『世界一わかりやすいランチェスター戦略の授業』, かんき出版, 2012, p5

これだけだと「?」となってしまう人もいるかもしれません。私なりに表現すると、自分が1番になれる市場を見つけ出して(もしくは「作りだして」)戦略的にNo.1を目指すこと。「ここなら勝てる!」というニッチな領域を見つけて一点突破すること、となります。

この戦略がよく見られる分野があります。ギネス記録の世界です。「ギネス記録に挑戦する」といえば、一般的にはハードルが高いイメージです。確かに、カテゴリーによっては不可能としかいえないものもあります。ですが、その気になれば誰もが挑戦できるカテゴリーも存在します。また、自分が得意なものを新しいカテゴリーとして作ってしまうこともできます。

例えばギネスには、「ビールジョッキをどれだけいっぺんに運べるか」「自分の体にどれだけ多くの蜂をまとわりつかせられるか」「1台の車にどれだけたくさん人が乗れるか」といった挑戦が記録されています。ギネス記録を何百も保持しているコレクターなどは、富士山のまわりをポゴスティックで駆け回ったり、巨大なフラフープを回したりして、さまざまなギネス記録に挑んでいます。

これらはどれも多くの人が挑戦できるものです(繰り返し言いますが、「その気になれば」です)。しかも、同じチャレンジをする挑戦者は世界にそうそういない、非常に「ニッチ」なカテゴリーなので、世界一になれる確率は高い。ランチェスター戦略は、そういった「自分が勝てる領域」に注目し、資材を一極投下することを勧めます。

自分ごとで恐縮ですが、私にも世界一になれるチャンスはあります。私は読書好きで、これまで13,000冊ほどを読んできましたが、読書数では残念ながら世界一は望めません。一方、私は読了した本すべてをカウントし、かつ感想などの記録もつけています。「世界一の読書数」を目指すのは私にとってほぼ無理ですが、「世界一多くの読書記録をつけた人」というジャンルでなら「世界一」になれる可能性があるかもしれません。

 


『三国志』で有名な「赤壁の戦い」で採られた作戦

 ランチェスター戦略は長らく体系化されず、戦略名こそつけられてこなかったものの、実は古くから多くの場面で採用されてきました。

 例えば『三国志』でも有名な「赤壁の戦い」。曹操(そうそう)軍と、孫権(そんけん)・劉備(りゅうび)連合軍の戦いでは、兵力数で絶対的に不利だった孫権・劉備連合軍が勝利を収めたのです。

なぜ「小」が「大」に勝てたのか? キーとなったのは「火計」と呼ばれる戦法です。赤壁の戦いは、水軍の戦(いくさ)として有名です。つまり「船」を使った戦いですが、当時の船は木製で、船に火をつけて炎上させる火計はとても有効でした。

 ただし、これには「風向き」を味方にしなければならないという課題がありました。自軍に向かって風が吹けば自軍の方に火が広がり、危険です。そのため、敵である曹操軍の方に風が吹いている必要があり、曹操軍に向かう風がなければ、当然ながら火計は使えません。しかし、その季節に、曹操軍に向かう「東南の風」はまず吹くことがなかったのです。

さらに曹操軍も当然、火攻めは警戒していて、その地域の冬場にまず吹くことがない「東南の風」を考慮して待機場所を選び、侵攻のチャンスをうかがっていました。

 そんな逆境の中で、連合軍の参謀的存在だった諸葛孔明はこう考えます。「まず」吹くことはない風は、しかし「たまに」吹くことがある。その「たまに」を逃さずつかまえて風を利用すれば、火計は成功する、と。

 この「たまに」は、時間軸でみればニッチです。しかし連合軍は、待機という戦略をうまく継続し、風と火の勢いを使って、兵力で不利だったにもかかわらず曹操軍という「大」から勝ちを得たのでした。炎と煙の中で曹操が茫然と立ち尽くしたエピソードも知られています。

 


バカ売れミルクシェイク、朝専用コーヒーの戦略勝ち

ランチェスター戦略をビジネスに応用した例も見てみましょう。「赤壁の戦い」が、市場的なニッチというより時間的なニッチを使った例だったので、似たものを『ジョブ理論』(クリステンセン著, ハーパーコリンズ・ ジャパン, 2017)から紹介します。

「ミルクシェイクをもっと売りたい」と考えた、あるファーストフードチェーンの話。彼らは、さまざまな顧客調査をし、値段を安く? 量をもっと多く? もっと固く凍らせる? などの試行錯誤を繰り返していました。しかし、売上増には至りません。

ところが視点を時間軸に移すと、ある傾向が見えてきました。それは「午前9時まえにひとりでやってきた客に売れるミルクシェイクが驚くほど多かった」(p32)というデータです。しかも彼らの多くはミルクシェイク「だけ」を買います。なぜでしょうか? 理由は興味深いものでした。彼らは、仕事先までの長時間、運転をする人たちだったのです。運転している「退屈」な時間に、気を紛らわせられるものがほしい。しかも、午前9時は「まだお腹はすいていないが、あと2時間もすれば空腹になること」がわかっている時間帯でもあるので、適度に小腹を満たしたい。そんな要求を満たすのにちょうど良いのがミルクシェイクだったのです。

お客が必要としたのは、飲食してもすぐに量が減らず、運転中に摂取できて、手も汚れない、適切な「空腹解消物」でした。コーヒーなどは、飲みやすいがゆえにすぐ無くなってしまうから選びたくない。ちょうどいいものがミルクシェイク「だけ」だったのです。

最終的にそのファーストフードチェーンは、時間帯によって顧客のニーズが変化することを学び、「朝」にバカ売れするミルクシェイク対策をして売上増を達成しました。

日本でいえば、朝専用缶コーヒー「ワンダモーニングショット」が成功例としてあげられます。同商品は、客層を性別・年齢・家族構成・職業・年収などでターゲティングせず、「時間」に注目しました。生活者の消費活動を「朝」「昼」「夜」という切り口で細分化し、「朝」という市場でオンリーワンになったのです。消費者の属性や行動様式ではなく、異なる尺度でニッチなところにシェアを見いだし勝った。まさにランチェスター戦略です。

 

まとめ

多くの製品・商品やサービスには、その製品にしかない特徴や強みがあります。それを活かしつつ「ここでなら勝てる」といえる土俵を見つけましょう。そして、資材をそこに集中投下するのです。ランチェスター戦略が、規模の小さいものに勝機をもたらし、新たな歴史を作ります。

 

 

参考サイト:

 

参考書籍:

  • 福永雅文『世界一わかりやすいランチェスター戦略の授業』, かんき出版, 2012
  • クリステンセン『ジョブ理論』, ハーパーコリンズ・ ジャパン, 2017

 

 

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